アクティブレストが回復には一番の方法
アクティブレストが回復には一番の方法
アクティブレストが回復には良いと聞いたことがあると思います。私も最近疲れ気味で、なにかと良い回復方法はないかと調べていましたら、インターネット上に参考になりそうな論文があったので、読んでみました。内容は、日々の生活や、クライミングにも使えそうです。
■アクティブレストとは
運動後の疲れをとるとき、休息日にどのように回復するかは、いくつかの方法があります。
・何もしないで休む
これも最もオーソドックスな休憩方法ですね。疲れたら、休むといわれたら、この休み方をするでしょう。
椅子に座ってゆっくりする。横に寝っ転がって、特になにもせず過ごす。ベッドに横になる。このような方法です。というか、方法というのも変な感じがしますが。
・ストレッチをする
これは少しだけ動作が加わります。いろいろな体の部位をストレッチして伸ばしてやる方法です。
クライミングの疲れの場合、背中の筋肉に疲労がたまることが多いですが、その部分を伸ばしてやったりすると気持ちよく、回復が早まる気がしますね。
・アクティブレストを行う
疲れない程度の軽度の運動を行うことです。
例えば、 ・ウォーキング ・ジョギング ・軽い水泳 ・水中ウォーキング
軽い有酸素運動系のものですね。
身体を軽く動かして、血流を巡らせてあげることによって、積極的に体の中の疲労物質を流す方法になります。
■アクティブレストが良いという根拠があいまい
インターネット上を見ていても、アクティブレストが良い、という情報が結構あります。しかし、根拠がない場合がほとんどです。理由自体は書かれていても、実験に基づくものでもないので、信憑性にも不安が残ります。
しかし、今回は、論文が存在しました。実験も行っているので、この情報は正しいです。
実験では、そのエクササイズ直後の疲労度を測っています。つまり、練習日と練習日の間のレスト日のクーリングダウン方法のことではなく、その日の1登1登の間のレストについて検証を行っています。
■実験方法
被験者は30秒間の連続打ち込みを行い、間に30秒の休憩をはさみながら3回繰り返し、これを1セットとする。1セットの打ち込み終了直後に心拍数を測定し、その後4分間のクーリングダウンを行う。クーリングダウン直後に血中乳酸値を計測する。これを3セット行う。
クーリングダウンの方法は、下記の3種類。
・何もしないで休む ・ストレッチ ・アクティブレスト
「図3・・・連続打ち込み練習後のアクティブレストが柔道選手の血中乳酸値の変動に及ぼす影響より」
■結果
心拍数は、3種類のクーリングダウン方法によって特に変わらなかった。
しかし、乳酸値においては、「何もしないで休む」「ストレッチ」よりも、「アクティブレスト」を行った時のほうが、各セット後の乳酸値が低かった。
つまり、アクティブレストを行った方が、疲労度が低くなるということです。
「図1・・・連続打ち込み練習後のアクティブレストが柔道選手の血中乳酸値の変動に及ぼす影響より」
■クライミングに適応してみると
クライミングジムでトレーニングをするとき。登る間の時間は、アクティブレストをしていると疲労度を低く保てるということです。
狭いジムだと、ウォーキングやジョギングなどの多少場所をとる方法は難しいですが、動的に体を動かすような全身運動、例えば、ラジオ体操のような動き、はアクティブレストとしてできるのではないでしょうか。
自然の岩場であれば、ウォーキングなどができるので、それをしてもいいかもしれません。
アクティブレストをすれば、その日の1登1登の質が上がり、少しでも長くフレッシュな状態でクライミングができるということになると思います。
■備考
今回は、1セッション内のレスト方法についてでしたが、別の機会に、セッション日間のレスト方法について、最適なものを調べていきたいと思います。
■参考文献
タイトル: 連続打ち込み練習後のアクティブレストが柔道選手の血中乳酸値の変動に及ぼす影響 著者: 大石康晴、岩田浩明 発行日: 2010-12-03 URL: http://hdl.handle.net/2298/17632