ケガをせず、クライマーらしいかっこいい背中になれる、懸垂の正しいフォーム
クライマーにとっては親しみ深い懸垂ですが、正しいフォームを行わずケガをしてしまうケースがあります。
ケガをしない懸垂の仕方、フォームは、下記のようになります。
① 肩幅で、逆手でバーを握る
バーを握る幅によって鍛えられる箇所は変わってきます。幅を大きく取ることによって背筋の外側の筋肉が鍛えられ、幅を小さく取ることによって背筋の内側が鍛えられます。肩幅では、背筋の内側がより鍛えられることになります。
しかし、私自身はケガ防止のため、肩幅で行っています。肩幅以上、または、肩幅未満の幅にすると、肩と握る手を結ぶ線(腕の部分)が斜めになってしまい、ひじに負担をかけるからです。肩と握る手を結ぶ線をまっすぐにすることによって、ひじにかかる負荷を最小限にしています。
バーを握る手で、順手、逆手でまた鍛えられる筋肉も変わってきますが、私は安全のため、逆手で行っています。肩幅でバーを握るため、もし順手で握った場合、懸垂で上体を引き上げた最頂点で、腕が不自然にひねられてしまうからです。逆手であれば、変なひねりも少なくできます。
② 肩を耳から前に出ないように、後ろに引く状態を維持する。
別記事でも書いていますが、肩を耳から前に出ないようにするのは、クライミングをする上で基本の姿勢でありますし、肩を痛めないようにするためのけが予防でもあります。
肩を耳から前に出ないように後ろに引くことによって、常に肩を引く背筋に力が入った状態になっています。
③ あごを軽く引く
これは、ケガ防止のためです。懸垂をしているときに、あごが引けてないと、首に余計な負荷がかかってしまい、誤ると寝違えたような首の痛みが出てしまうようになります。
④ 体の重心を懸垂バーの真下にくるようにする。
①~③の基本姿勢が取れた状態で、今度は体の重心を整えます。懸垂前はおそらく、重心が懸垂バーよりも手前側にあると思いますから、懸垂バーに軽くぶらさがりながら、重心をバーの真下にもっていきます。
懸垂バーの真下に、重心をあらかじめ持ってくることによって、懸垂を行ってい時に前後に体がゆれないようにし、余計な負荷がかかったりケガをしないようにします。
⑤ ひじを背中側の真後ろに引く意識で上体を引き上げる
この意識は非常に重要です。懸垂は、はたから見ると、腕の力で持ち上げているように見えることもあるので、腕の力を使って上体を引き上げてしまいがちです。
しかし、懸垂は、腕の力はほぼ使わないと考えても良いです。実は、背筋の力が上体を引き上げているのです。懸垂とは、背筋の力を鍛える筋トレなのです。
といっても、どういう意識で行えば腕の力を使わず、背筋の力をうまく使えるかはわからないものです。
そこで、ひじを後ろへ引く意識をしてみてください。ひじを背中側の後ろ方向に引っ張るのです。ひじに、糸が付けられていて、その糸を真後ろに引かれているイメージでしょうか。
そのようにやってみると、上手く背筋の力を使うことができます。反対に、腕の力はほぼ使いません。
これは、背筋を鍛えることに有効で、しかも、ひじへのねじれや負担が小さいのでケガ防止にもなります。
⑥ 上体を引き上げる際、懸垂バーに胸を近づけるようにする
⑤で説明したように、ひじを後ろに引きますから、正しくそのフォームで上体を引き上げていくと、懸垂バーに胸が近づく形になります。
懸垂バーが、あごに近づいたりする場合には、ひじでうまく引っ張れていないということなので、フォームを見直した方が良いでしょう。
⑦ ③の結果、胸は反った状態になる
ひじを後ろに引くことを正しく行えば、胸が懸垂バーに真下から近づき、下半身は重心で下にぶら下がるため、胸は反った状態になります。
⑧ ひじの背中側の真後ろに引く力を緩めていき、上体を下していく
上体を下すときも、引き上げるときと逆に、ひじを真後ろに引く力を緩めるようにしておこなう。
この正しいフォームで懸垂を行うことによって、クライマーらしい発達した背中を得ることができます。また、腕よりも大きい背筋を使うことに慣れるので、実際のクライミングで、引き付けるムーブによっての消耗が少なくなります。